EY DESIGN代表インテリアデザイナー山口恵実の自邸兼スタジオです。
築37年低層マンションの最上階。料理やホームパーティー、旅行が好きな夫婦のライフスタイルに合わせ、給排水管設備の刷新も含め、フルリノベーションしました。
間取りは玄関を中心に南側をパブリックスペース、北側をプライベートスペースに分け、玄関からLDKは扉を設けず床材と天井高を変えることで緩やかにゾーニングしています。
壁に囲まれ閉鎖的だったキッチンは、間仕切りを撤去してL型＆アイランドのオープンキッチンに変更し、夫婦で料理をしたりカウンターで食事をとったりと生活の中心の場となっています。
インテリアは1920～30年代にニューヨークで花開いたアールデコから着想を得て、幾何学模様、クローム・真鍮等の金属、対比的な色彩をLDKから寝室まで家全体に散りばめています。
イギリス、フランス、ベルギーから取り寄せた壁紙や家具の張地で大胆な色を採用していますが、深みのある色に照明で陰影を加えることで、落ち着きと調和のある空間を実現しました。
＜2023年雑誌モダンリビングのスタイリング・デザイン賞上位3作品入賞事例＞
料理やホームパーティー好きな住み手のために、L型＋アイランドの大きなオープンキッチンをデザイン。
壁面には国産タイルを貼り、ライン照明で照らすことでタイルの美しさが際立ちます。
大容量の引出収納に、オーブンや海外食洗機をビルドイン。ゴミ箱もキャビネット内に納めることで、美しさと機能性を両立させています。
ホテルのラウンジをイメージしたリビング。
テレビは置かずにテーブルを中心に家具を左右対称に配置しています。
照明器具や家具はアーティストがデザインしたユニークなアイテムを選んでいます。
ソファ裏の壁一面には大きな飾り棚を設け、旅の思い出やコレクションをディスプレイ。
生活感が出がちなエアコンは配管を延長して移設し、飾り棚の上部に埋め込み、機器類の存在感がでないようにしました。
豊かな暮らしにアートは欠かせません。家の各所に飾りました。
柱に飾った真鍮アートはロンドンのアンティークフェアで見つけた1950年代イタリアの作品。
リノベーションでキッチンとリビングの間仕切壁を撤去しましたが、一部躯体で撤去できなかったため、躯体壁を覆うように大きな柱をつくり、アートを飾る場としました。
ゆったり食事を楽しむために、和室を改装し独立したダイニングを設けました。
ロンドンのレストランをイメージして内装は暖色カラーでまとめ、床はカーペットで仕上げています。
シャンデリアや大理石のテーブルが食卓を華やかに演出。
メタルの曲線美のダイニングテーブルは英Tom Faulkner。
キッチンからダイニングをみた景色。
開口枠から見える景色が美しくなるように、開口サイズや照明位置を検討しました。
幾何学柄の壁紙はCASAMANCE、照明はヴィンテージです。
インディゴブルーと幾何学柄で、落ち着きながら遊び心のある空間にしました。
寝る前にもたれてくつろげるように特注ヘッドボードは高さと厚みにこだわり、防音＆断熱効果が高く、夜ぐっすりと眠れます。
ベッドの両サイドにはTom Dixonのペンダントライト。
ナイトテーブルはヴィンテージで、古いものと新しいものをミックスした個性あふれるインテリアです。
リノベーションで各部屋のドア位置を変更することで、窓を開けると家中に風が通り抜けます。
ミラー貼りした廊下の収納扉には、景色が映り込み空間を広く見せる効果も。
リノベーション前は一人が通るのがやっと、というほど狭かった玄関は、スペースを広げコンソール＋ランプ＋アートの設えの場を設けました。
三和土（たたき）と廊下を同じタイルで仕上げることで、空間を広く見せています。
Photo by 後藤徹雄
本リノベーション事例は2023年雑誌モダンリビングのスタイリング・デザイン賞にノミネートされ、上位3組に選出されました。
住み手の個性やスタイルを大胆に表現したデザインと、住みやすさをディテールまで考え抜いた空間構成が評価されました。
写真はEY DESIGN代表の山口恵実。
