こんにちは。EY DESIGNインテリアデザイナー山口恵実です。
”ホテルライクな寝室”という言葉が何年も前から人気ですが、上質で個性的な寝室を実現するには、ヘッドボードの存在が欠かせません。まさに『寝室の顔』です。
多くのホテルがヘッドボードのデザインに力を入れています。
ヘッドボードにこだわった海外ホテルの事例
過去に宿泊したイギリスとスペインのホテル事例をご紹介します。
ヨーロッパのホテルはデザインに溢れて楽しい!
毎回お洒落なホテルに泊まるたびに、メジャー片手に部屋の中を動き回り、サイズを測り、ディテールを確認しています(笑)
まずヘッドボードと言ったらロンドンのインテリアデザイナーKit Kemp抜きには語れません。
彼女のデザインアイコンであるヘッドボードとトルソーが置かれたFirmdale Hotelsは、世界中のデザイナーやおしゃれなインテリア好きにとって憧れの場所。
ロンドンのKnightsbridge Hotel。
天高2260と低めの空間に天井まで届きそうなヘッドボードが設置されていました。
天井に梁がないので、天高2260でもすっきりと広く感じられます。
ヘッドボードの厚みは55mm。スタッズ留が良いアクセントになっています。
次はイギリス・ウェールズの貸し切りコテージThe Craftsman’s Cottage。
納屋を改築したコテージはアンティーク家具や地元ウェールズの羊毛から生まれたクッションやブランケット、アーティストの陶器作品が飾られた、温かみのある素晴らしい空間でした。
こちらのヘッドボードはベッドと一体型の控えめなデザイン。淡いグリーンカラーが壁紙やクッションを引き立てます。
床~ヘッドボードTOPまで高1300mm。床~マットレス上部まで580mm。
日本では高850mm程度のヘッドボードが一般的なので、それに比べるとかなり高め。
ヘッドボードに十分な高さがあるので、ベッド脇の照明やクッションのスタイリングが映えます。
洋スタイルのインテリアを実現したい場合は、ヘッドボードの高さは1100以上、できれば1200以上はある方が良いと思います。
ヘッドボードが低すぎると、クッションのスタイリングとのバランスが悪くなります。
スペイン・セビリアのホテルアルフォンソ13世。
馬のフォトアートや馬具をモチーフにした取っ手など、馬をデザインテーマに取り入れたインテリアでした。
ヘッドボードはレザー張りのスタッズ留めで大変ユニークなデザイン。
ディテールまで美しい仕事です。
スペイン・マドリードのホテルHospes Puerta de Alcaláは、バロックスタイルのヘッドボードでした。
額縁のような装飾的なフレームに、ウレタン+ビニールレザー張りです。
壁に固定して設置されています。ホテルのヘッドボードは壁固定が一般的です。
スペイン・バルセロナのホテル、Hotel España Ramblas。
レセプションやレストランはムデハル様式という西洋&イスラムが融合した建築内装でしたが、客室はモダン。
ヘッドボードはウレタン+ビニールレザー張りでパネルのような組み合わせ。タワーマンションのモダンなインテリアにも良く合いそうです。
まだまだ紹介したいお写真はいっぱいありますが、今回はここまで。
ヘッドボードには多種多様なデザインがあり、寝室のインテリアを楽しめることがお分かりいただけたかと思います。
ヘッドボードは防音・防寒効果もある
ソファや椅子の座面にも使われるウレタンを中に挟み、布張やレザー張りで仕上げたヘッドボードは、見た目のグレード感やデザイン性はもちろんのこと、実用性も非常に高いのです。
寝る前の読書で背をもたれる際に身体が痛くならないですし、隣室の音が気になる…という場合に、背が高く厚みのあるヘッドボードが音を和らげてくれます。
防寒効果もあり、頭周りが暖かく快適に休むことができます。
様々なメリットがあるヘッドボード。
その存在感や可能性に気がついていない方も多いと思いますので、もっとヘッドボードの面白さを伝えていきたいです。
次回の記事では、弊社の特注ヘッドボードの事例をご紹介し、どのようにデザインし、どのように現場に設置するのか、注意事項も含めて詳しくご紹介したいと思います。