今月ご出産予定のお客様宅にて、お子様部屋をリフォームしました。
英HARLEQUINの可愛らしい壁紙に張り替えて、女の子をお迎えする準備。
9畳の洋室にベビーベッドを置いて、赤ちゃんと大人は別の部屋で寝る西洋スタイルを採用します。
最近国際結婚した友人やインテリアデザイナー仲間と話題にあがった「子供部屋はいつ作る?」について今日は書きたいと思います。
子供部屋はいつ作りましたか?
日本では幼いうちは親子同じ部屋で寝て、小学生頃から子供部屋をつくるケースが多いのではないでしょうか。
弊社の事例でも小2~3年生のお子様部屋のご依頼が多いです。以下は子供部屋のリノベーション、新築事例の一部。
小2女子
生まれたときから子供と大人が別々の部屋で寝る西洋スタイルは、日本では少数派ではないでしょうか。
日本は歴史的に和室に布団を敷いて家族全員が川の字で寝る習慣が長かったこと、また特に都心部では住宅の広さ問題もあると思います。
私は地方の戸建で育ちましたが、幼い頃は両親や姉と一緒に和室で川の字で寝ていました。
自分の部屋を持ち自分専用のベッドで寝るようになったのは小3頃。
部屋を持った後はまるで自分の城ができたみたいで、模様替えをしたり好きなアイドルのポスターや小物でスタイリングするのに夢中になった記憶があります。
フランス「子供の個性や自立心のために子供部屋は不可欠」
先月フランス人と国際結婚し、出産した友人と会う機会がありました。
その友人曰く「親子が一緒の部屋で寝るスタイルは、フランス人の夫や義父母にとって衝撃的でありえない」と言われたそう。
フランス人の義父母が言うには、
「子供部屋は子供の個性やアイデンティティを形成するために必要不可欠な場所。一人の時間を過ごしたり、部屋を自分スタイルでデザインしたり、自分のものを選択したり保有することで主体性や自立性を育むことができる。子供も親もプライベートな空間と時間が必要。生まれたときから子供部屋を持つべきだし、子供は子供部屋で寝るべき。」
実際にフランス人の大半は生まれたときから自分専用の部屋を持つことが一般的で、幼いうちから個人を尊重してプライベートな空間を持つことは、子供の主体性や判断力の向上につながると考えられています。
その友人も出産のタイミングで広い家に引っ越し、子供は0歳から自分の部屋で寝かせています。
イギリス「個性を尊重し表現するのは当たり前だから、”個性を伸ばす”という言葉は使わない」
ロンドンのインテリアデザイナー(妻日本人、夫ヨーロッパの国際結婚、子供2人)にも話を聞いてみました。
その家では広さの問題から子供部屋をすぐに設けられないとのことで、0歳、3歳の子供は親と一緒の部屋で寝ています。
ただイギリス人の友人からは「親と子が一緒の部屋で寝るのは考えられない」と驚かれる模様。
やはり小さい頃から子供部屋を持ち、子供は自分の部屋で寝ることが一般的なようです。
子供部屋の話から少しそれますが、ロンドン在住の日本人インテリアデザイナー曰く、「イギリスと日本では子供の教育方針が全然違う」とのこと。
イギリスの学校は基本的に子供の個性を自由に表現させたり、子供に自分の意見を述べさせたりすることが多い。人と全然違う意見を言っても注意されることは無くむしろ褒められる。
各人の個性を尊重し、個性を自分なりの方法で表現するのは当たり前なので、「個性を伸ばす」という言葉は言う必要もないし聞いたこともない。インテリアもそれぞれの幸せを追求するので、結果として多様化する。とロンドン在住のインテリアデザイナーの彼女は言っていました。
非常に興味深い話です。
そしてこの習慣や考え方の違いが、インテリアのダイナミズムにも影響を与えているのではと思います。
昨年1カ月半かけて、イギリスやフランスのインテリア展示会、ショールーム、ホテル、現地の家を巡りましたが、
「なんて個性的で自分のスタイルを貫いた空間が多いんだろう」と驚きました。
自分の好きなもの・価値観を、これでもかというくらいインテリアで表現し、自分の幸せを追求する。だから結果的にみんな違うし多様になる。
そんな消費者のニーズに応えるべく、ヨーロッパの家具・照明・テキスタイルのメーカーが出す商品も、競い合うように多種多様でとがった商品構成。
日本とは比較になりません。ドアノブや取っ手ひとつとっても、多様な価格帯の多彩なバリエーションがあります。
一方で日本のインテリアは少しずつ変わりつつはありますが…全体的に欧米に比べるとまだまだ画一的であることは否めません。大手メーカーが与えるものに対して、何も疑問に思わずにそのまま住む、というケースも多いように感じます。
子供部屋に関する考え方や教育の違いが、インテリアの世界に少なからず影響を与えているのだろうか…といろいろと考えさせる今日この頃でした。
子供部屋については、住宅の歴史、都市の住宅事情はもちろん、各家庭の価値観や教育方針、家の広さ問題などもありますので、一概にこれがベストとは言えませんが、興味深いトピックなので、今後も様々な国の人に話を聞いてみたいと思います。