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子供部屋はいつ作る?日本、イギリス、フランスの違い

フランス「子供の個性や自立心のために子供部屋は不可欠」
イギリス「個性を尊重し表現するのは当たり前だから、”個性を伸ばす”という言葉は使わない」

こんにちは。EY DESIGNインテリアデザイナー山口恵実です。

私の周りは今、出産ラッシュです。
友人やお客様から、第一子、第二子の嬉しいご報告をいただいています。

先日もお客様の出産に向けて、タワーマンションのお子様部屋をリフォームしました。
HARLEQUINの可愛らしい靴柄の壁紙、ピンクの壁紙に張り替えて、女の子をお迎えする準備。
9畳の洋室にベビーベッドや子供服・おもちゃを置いて、赤ちゃんと大人は別の部屋で寝る西洋スタイルを採用します。

EY DESIGN子供部屋インテリアデザイン、リノベーション

最近いろいろな人と話題にあがる「子供部屋はいつ作る?日本、イギリス、フランスの違い」について今日は書きたいと思います。

お子様がいる読者の皆様は、子供部屋はいつ作りましたか?
日本では、幼いうちは親子同じ部屋で寝て、小学生頃から子供部屋をつくるケースが多いのではないでしょうか。

弊社の事例でも小2~3年生のお子様部屋のご依頼が多いです。以下は子供部屋のリノベーション、新築事例の一部。

EY DESIGN子供部屋インテリアデザイン、リノベーション
タワーマンションリノベーション 小3男子
EY DESIGN子供部屋インテリアデザイン、リノベーション
新築マンションリノベーション 小3女子
EY DESIGN子供部屋インテリアデザイン、リノベーション
新築マンションリノベーション 小3女子
EY DESIGN子供部屋インテリアデザイン、リノベーション

新築戸建 小2女子

新築戸建 小3男子。子供部屋のオーダーカーテンは、可愛らしいポンポントリムをつけたり、元気な色・柄を提案することが多い。

生まれたときから専用の子供部屋をもち、子供と大人が別々の部屋で寝る西洋スタイルは、日本では珍しいと思います。

日本は歴史的に和室に布団を敷いて家族全員が川の字で寝る習慣が長かったこと、また特に都心部では住宅の広さ問題もあると思います。


私自身、地方の戸建で育ちましたが、幼い頃は両親や姉と和室で一緒に寝て、自分の部屋を持ち自分専用のベッドで寝るようになったのは小3頃でした。
部屋を持った後はまるで自分の城ができたみたいで、模様替えをしたり好きなアイドルのポスターや小物でスタイリングするのに夢中になった記憶があります。

フランス「子供の個性や自立心のために子供部屋は不可欠」

先月フランス人の男性と国際結婚し、出産した友人と会う機会がありました。
子供部屋について面白い話があったのでシェアしたいと思います。

その友人曰く「親子が一緒の部屋で寝る日本スタイルは、フランス人の夫や両親には衝撃的で、ありえない」と言われたそう。

フランス人の両親が言うには、
「子供部屋は子供の個性やアイデンティティを形成するために必要不可欠な場所。一人の時間を過ごしたり、部屋を自分スタイルでデザインしたり、自分のものを選択したり保有することで主体性や自立性を育むことができる。子供も親もプライベートな空間と時間が必要。生まれたときから子供部屋を持つべきだし、子供は子供部屋で寝るべき。」

実際にフランス人の大半は生まれたときから自分の部屋を持つことが一般的で、幼いうちから個人を尊重してプライベートな空間を持つことは、子供の主体性や判断力の向上につながると考えられています。

その友人も引っ越しで広い家を探し、子供は0歳の時から自分の部屋で寝かせています。

2022.9パリのメゾンエオブジェにて

イギリス「個性を尊重し表現するのは当たり前だから、”個性を伸ばす”という言葉は使わない」

ロンドンのインテリアデザイナー(妻日本人、夫ヨーロッパの国際結婚、子供2人)にも話を聞いてみました。
その家では広さの問題から子供部屋をすぐに設けられないとのことで、0歳、3歳の子供は日本スタイルで親と一緒の部屋で寝ています。
ただイギリス人の友人からは「親と子が一緒の部屋で寝るのは考えられない」と驚かれる模様。
やはりフランスと同様に、小さい頃から子供部屋を持ち、子供は自分の部屋で寝ることが一般的なようです。

さらにイギリスと日本では子供の教育方針が全然違うとのこと。
イギリスの学校は基本的に子供の個性を自由に表現させたり、子供に自分の意見を述べさせたりすることが多い。人と全然違う意見を言っても注意されることは無く、むしろ褒められる。日本のように先生の話を子供たちが一律に静かに聞くスタイルはほとんどないとのことです。似たような話はイタリア人の友人からも聞いたことがあります。

イギリスでは各人の個性を尊重し、個性を自分なりの方法で表現するのは当たり前なので、「個性を伸ばす」という言葉は言う必要もないし聞いたこともない。インテリアもそれぞれの幸せを追求するので、結果として多様化する。とロンドン在住のインテリアデザイナーの彼女は言っていました。

非常に興味深い話です。

そしてこの習慣や考え方の違いが、インテリアのダイナミズムにも影響を与えているのではと思います。

EY DESIGNメゾンエオブジェ インテリア写真
2022.9パリのメゾンエオブジェにて

昨年1カ月半かけて、イギリスやフランスのインテリア展示会、ショールーム、ホテル、現地の家を巡りましたが、
「なんて個性的で自分のスタイルを貫いた空間が多いんだろう」と驚きました。

自分の個性、好きな物、価値観を、これでもかというくらいインテリアで表現し、自分の幸せを追求する。
だから結果的にみんな違うし多様になる。

そんな消費者のニーズに応えるべく、ヨーロッパの家具・照明・テキスタイルのメーカーが出す商品も、競い合うように多種多様でとがった商品構成で、日本とは比較になりません。ドアノブや取っ手ひとつとっても、多様な価格帯の多様なバリエーションがあります。

一方で日本のインテリアは少しずつ変わりつつはありますが…全体的に画一的であることは否めません。
インテリアで個性を表現したり、こだわることがことがあまり意識・評価されておらず、大手メーカーが与えるものに対して何も疑問に思わずにそのまま住む、という状況が多いように感じます。

私はインテリア業界に入って間もない頃、異なる国内大手壁紙メーカーのカタログを比較したときに、あまりにも似た商材/同じ価格で、てっきり同じメーカーの商品だと思った記憶があります。
このようなことは、様々な商材で見受けられますし、完成する空間もだいたい似たようなタイプに当てはまります。良く言えば「和を重んじる」、悪く言えば「個性がない」でしょうか。

EY DESIGNメゾンエオブジェ インテリア写真
2022.9パリのメゾンエオブジェにて

今少しずつ多様性の波が押し寄せ、「個性」や「自分らしさ」というキーワードがマーケット内でも増えているように感じます。そんな弊社も「個性」をデザインのひとつのテーマにしています。

イギリスと違って、日本では”個性を伸ばす”を積極的に言葉に出していかなければならない状態ですが、少しずつ意識は変わりつつあるのかな、いや変えていきたいなと思います。

そう思っていた矢先に、子供部屋や教育の違いを各国にいる友人たちと話す機会があり、このような違いもインテリアの世界に少なからず影響を与えているのだろうといろいろと考えさせられました。

EY DESIGNメゾンエオブジェ インテリア写真
2022.9パリのメゾンエオブジェにて


子供部屋については、住宅の歴史、都市の住宅事情はもちろん、各家庭の価値観や教育方針、家の広さ問題などがあるかと思いますので、一概にこれが良いとは言えませんが、興味深いトピックではあるので今後も様々な人の話を聞いて考察を深めていきたいと思います。

EMI YAMAGUCHI


山口恵実(やまぐちえみ)
インテリアデザイナー
EY DESIGN代表。住み手の個性を表現する上質マンションリノベーションを得意とする。外資経営コンサル会社、富裕層向けおもてなし料理&スタイリング教室の経験を経てインテリアデザイナーへ。英ロンドンでインテリアデザインを学ぶ。東京都在住。

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